病院の廊下を歩く彼の背中を、どうしてもまっすぐ見られなかった。 息子の友人だとわかっているのに、あの若さと無邪気な笑顔を目にするたび、胸の奥がざわついて止まらなくなる。 去年の秋、事故で入院した息子を見舞い、偶然一緒にな……
病院の廊下を歩く彼の背中を、どうしてもまっすぐ見られなかった。 息子の友人だとわかっているのに、あの若さと無邪気な笑顔を目にするたび、胸の奥がざわついて止まらなくなる。 去年の秋、事故で入院した息子を見舞い、偶然一緒にな……
風俗で働くなんて、昔の私からすれば想像もできなかった。 離婚して子どもを一人抱えながら、生活を繋ぐために選んだ道。それでも「人妻系」の求人に応募する時は、心臓の音が耳の奥で響いていた。初日、店長から「お客は優しい人ばかり……
「キャー!やっぱり若い子はウマいねぇ」 黄色い声援が飛び交う。 30代後半を迎え、アイドル並みの声援を受けるのも何とも気持ちが良かった。 会社移転! 会社を辞めるか? 移転先に永住するか? 妻と悩んだ末に、私達は永住を心……
連休初日に友人と飲みに出掛けた。 居酒屋で飲んで、店を出たら市街地の繁華街で長い髪の女性が2人歩いていたので、可愛いかもと思い友人と2人で声を掛けた。 綺麗な2人で、最初はなかなか食いつかなかったが、カラオケに行く事にな……
大学三年の春、僕は二十歳を過ぎたばかりだった。塾講師や家庭教師のバイトは何度か経験があったけれど、今回担当することになった〇〇くん宅には、初めて訪れた瞬間から不思議な緊張感が漂っていた。理由ははっきりしている――彼の母親……
あの日の夜勤は妙に長く感じた。病棟の廊下に漂う消毒液の匂い、時計の針の音、ナースステーションの蛍光灯が白々しく光っていた。主任のMさんが私の隣に座って、点滴の記録を確認していたのを今でもはっきり覚えている。 彼は四十……
ホテルのラウンジで飲んでいた時から、彼女の雰囲気には何か惹かれるものがあった。 黒のセットアップに柔らかな白のブラウス。その奥に隠れている形の確かさを、ふとした動きで感じてしまうたび、理性が薄くなる。 人妻だと知ってはい……
主人が亡くなってからというもの、夜が長かった。隣に人の気配がないだけで、こんなに寒く感じるのかと思った。シーツの端に残る空白を見つめながら、何度も涙が零れた。二年経っても、あの喪失感は薄れなかった。 一周忌の日、親友……
おいらマンション一人暮しなんだが、3階の奥様とハァハァできますた。 おいらもありえないと思っていたのですが おいらが一人暮しなの知ってるので、お誘いは向こうからでビックリでした。 おいらのマンションは八階建てで全32戸と……
平日の昼、彼とばったり会ったとき、「ごはんでも行こう」と誘われた。 軽い気持ちで「奢ってくれるなら」と笑って返したけれど、心のどこかでこの先の展開を期待していた。 車に乗って、見慣れない道に入ったとき、予感は確信に変わっ……