最初に彼に出会ったのは、昼下がりのことでした。
チャイムが鳴って玄関を開けると、スーツ姿の男性が少し緊張した顔で営業トークを始めました。普段ならすぐ断るのに、その日はなぜか、もう少し話を聞いてみようと思ってしまった。柔らかい物腰と、まっすぐな目が印象的だったのを覚えています。
旦那は最近あまり家にいない。仕事が忙しいのはわかっているけれど、私の話をゆっくり聞いてくれることもない。
彼の言葉を聞きながら、久しぶりに“自分が女として見られている”気がして、妙な鼓動を感じていました。
その夜、夫と会うはずだった彼がまた訪ねてきた時、彼には会えず…代わりに、私が応対しました。
理由なんて後づけのようなもの。あの時の私は最初から、彼に会いたかったのだと思う。
数日後、「また話を聞きたい」と口実を作り、昼間、彼を家に招いた。
玄関を閉めた瞬間、少しの沈黙。
お互いにどうなるか、言葉にしなくても分かっていた。
彼が少し戸惑いながらも私を見つめる目に、火を点けたのは私の方だった。
気づけば唇が触れ、抱き合い、息が交わる。
まるで初恋みたいに体が熱くなって、理性が遠のいていく。
「舐めてあげようか?」
そう言った時、自分の声が震えていることに気づいた。
清楚だとか、奥さんらしいだとか、そういう枠を壊してみたかった。
夫に触れられるより、ずっと生々しく、ずっと“女”として求められている感覚。
彼の体温と匂いに包まれながら、私の心の奥には“罪悪感”よりも“高揚”があった。
応接室の壁に手をつかされ、背中を反らせられた瞬間、私は完全に彼に委ねていた。
触れられるたびに、名前を呼ばれるたびに、頭が空っぽになる。
彼の指がゆっくりと中を探るたび、自分でも驚くほど感じてしまう。
「そんなに気持ちいい?」と囁かれ、必死に耐えても、体が勝手に反応して震える。
初めてというわけではない。なのにこんなにも乱れている自分が、知らない女のように思えた。
「あ、そこ…凄いの…!」
言葉が零れた瞬間、全身が波打つように弾けた。
奥がギュッと収縮して、視界が白く霞む。
彼の腕に支えられながら、息が整うまでの時間が永遠のように感じられた。
「ベッドの方に行こ?」と誘ったのは私。
夫の寝室のすぐ隣。そんな場所で抱かれてみたいという、あり得ない願望が抑えられなかった。
理性なんてもう残っていなかった。
シーツの上に並んで裸になった時、自分でも“戻れない”と思った。
生で挿れられた瞬間、体の奥がズキンと疼いた。
痛みよりも圧倒的な快感が広がっていく。
「大きい…そこ、当たってる…」
息を詰まらせるように呟いた時、彼は優しくも容赦なく動きを重ねた。
深く突き上げられるたびに、自分の内側から壊れていくようで、涙が溢れた。
でもそれは悲しみではなく、久しく忘れていた“女を感じる涙”だった。
やがて、彼が覆いかぶさってきてキスをした。
むしゃぶり合うようなキスの奥で、心が少し震えた。
「このまま壊れてもいい」と思ってしまうほど、彼の中に埋もれていたかった。
その瞬間、体の奥で何かが弾けるようにイってしまい、思わず彼の肩を強く掴んでいた。
「気持ちよすぎて壊れちゃう…」
自分で言ってしまったその言葉を、恥ずかしいよりも素直だと感じた。
その後、彼が疲れたように息をつき、私が上になることになった。
ゆっくりと腰を落とした時、再び彼が私の中を押し広げていく。
視線が絡み、どちらも逃げられない。
下から突き上げられるたび、奥で何かに触れ、全身がゾクリと反応した。
「気持ちいい?」と囁かれ、「うん」と答える声は、もう知らない自分のものだった。
最後は四つん這いに体勢を変え、後ろから貫かれた。
腰の奥まで届く感覚に、息のたび声が漏れる。
「もう無理…待って…」と手を伸ばしても、彼は止まらなかった。
その狂気にも似た激しさが、どこか嬉しくて、また波が押し寄せてくる。
イッた瞬間、全身が震え、涙と汗が混ざった。
終わった後、しばらく彼の腕の中で呼吸を整えながら、
「あなた、上手すぎるよ」と呟いた。
それは褒め言葉というより、半分は自分に対する戒めのような言葉だった。
夫への罪悪感は確かにあった。
けれど、それよりも“求められる喜び”が勝っていた。
一度だけの過ちで終わるはずが、気づけば何度も彼を求めてしまった。
昼間だけの短いひととき。
誰にも知られない密会。
あの時間の中では、私は“奥さん”でも“母親”でもなく、ただのひとりの女だった。
いつしか彼はいなくなり、季節がいくつも過ぎた。
夫と子どもとの生活は戻ったけれど、ときどきスマホの画面に“彼からのメッセージ”が届く。
それを見つめながら、今でもふと、あの日の熱の残り香を思い出す。
あの瞬間の私は、誰よりも本音を晒して、誰よりも生きていた。
