私は彼女を初めて見た時から、ただの部下として迎えるつもりはなかった。面接に現れたのは三十代後半の落ち着いた雰囲気を纏う女性。派手さはないが、柔らかい曲線と清楚な笑顔が際立っていた。聞けば既婚で、しかも小学生の娘もいるという。多くの応募者の中から、私が即座に彼女を採用枠に押し込んだのは、実務能力よりも本能的な欲望に従った結果だ。
初出勤の日、私は彼女を一般的なパート先任務ではなく、秘書的な部署に配置した。他の社員が少し顔をしかめるのを横目に、「彼女には秘書向きの適性がある」と言い切った。彼女は驚きつつも、すぐに真面目に慣れようと努力し始める。その姿に内心ほくそ笑んだ。特別扱いされることへの喜びと、私への信頼が同時に芽生えていくのが見て取れた。
毎日のように「君が来てくれて助かる」「物腰が上品で安心できる」と褒め続けた。単なる仕事上の評価ではなく、女としての部分をほんのり匂わせる言葉を選んで。褒められることを素直に受け止められず、頬を赤らめる仕草がたまらなかった。私はゆっくり、しかし着実に、彼女の心理的な距離を崩していった。
次に仕組んだのは出張だった。元々は日帰りでも済む仕事を、わざわざスケジュールを調整して泊まりにせざるを得ないよう改ざんした。彼女に「責任ある仕事を任せたい」と伝えれば、断る理由はない。妻であり母である彼女にとって、職場での信頼は大きな意味を持つのだから。
当日、仕事が終わる頃には終電を逃すよう計算済みだった。彼女は不安げに「遅くなってしまいましたね」と言ったが、私が慣れた口調で「今日はここに泊まろう。明日に備えた方がいい」と提案すると、しぶしぶ頷いた。すでにチェックインしてあったビジネス旅館の畳部屋に通された瞬間、彼女は明らかに警戒心を強めた。それでも「仕事だから」と自分を納得させている表情が、私をさらに昂らせた。
私は食事と共に酒を勧めた。少しだけ、と口にした彼女は、勧められるままにゆっくりとグラスを傾ける。頬が赤らみ、口数が少なくなった頃合いを見計らって、軽く彼女の肩に触れた。「君がいるから仕事が順調に進む。正社員への話も、実は上層部で検討している」——その甘言を囁くと、彼女は小さく目を伏せ、複雑な感情を押し殺そうとしていた。
距離を詰め、唇を奪った。彼女は身体を固くし、一度は顔を背けようとした。「ダメです」と声を絞り出したが、その声は弱々しく、拒絶というより迷いの響きが混じっていた。私は「キスだけだ」と低く囁いた。再び口づけを重ねると、彼女の手が震えながら私の胸を押す。だが力は弱く、次第に私のリズムに呑まれていく。
胸に触れると、「やめて」と言いながらも動きは鈍い。必死に腕で遮るが、男の力に抗えない。柔らかく成熟した乳房を掌に収め、下着越しに弄ぶと、彼女の吐息が荒くなる。ブラウスのボタンを外し、ブラジャーを剥ぎ取ると、白く艶めかしい胸が露わになった。夫以外に触れられたことのないその場所を、私は情け容赦なく貪った。
その瞬間、彼女は小さく声を洩らし、肩をすくめた。羞恥と拒絶が入り混じるその表情は、征服者の快感をさらに高める。私は彼女の抵抗を受け止めつつ押し切り、「正社員になれば生活も安定する。君はそれに値する」と囁きながら欲望を進めた。彼女の理性は、承認欲求と家庭の将来への不安とで揺さぶられ、やがて声にならない嗚咽へと変わっていった。
結局、彼女は最後まで「夫が…」と呟きながらも、私を拒絶しきることはできなかった。背徳と葛藤が絡みつき、その身体はついに私の支配に屈した。翌朝、彼女は視線を合わせようとせず、どこか後悔と混乱が入り混じった表情をしていた。だが私にとっては、その顔さえ甘美だった。人妻を、そして母親を、自らの力で堕としたという事実。その征服感は何物にも代えがたかった。
彼女はこれからも私という存在を忘れられないだろう。家庭を守ろうとすればするほど、私と過ごした夜の記憶が心を苛む。その矛盾こそが、最も贅沢なご褒美に思えた。