彼の声は震えていた。
自分の嫌悪している部分を次々と挙げていくというのは、
文太にとって自身の胸を抉るような行為であった。
だが、しかし、どうしても言わなくてはならないような気がしたのだ。
納得できなければ、それ以上前へ進めないような気がしたのだ。
真剣な顔で問い詰める文太に対し、紫織はしばしの沈黙の後、口を開いた。
「実はね、私……文太君みたいな男の子、大好きなの」
「ええっ!?」
「斜に構えてるような雰囲気かな。なんだか放っておけないっていうか……うーん、上手く言えないけど、母性本能くすぐられちゃうような感じね」
それはあまりに意外な回答だった。
自分は女性に好かれない――――むしろ、嫌われるタイプの男性だと思っていたからだ。
日頃親身に接してくれているとはいえ、まさか紫織が自分のことを好いてくれていたとは。
文太は目をまん丸にして驚くことしかできなかった。
「夫がいる身でこんなことするなんて、本当に悪い女だと思ってるわ。でもね、やっぱりどうしても君のことが頭から離れないのよ」
なるほど、紫織は単なる多情な女性ではなかったのだ。
性欲を第一の理由として迫ってきたのではなかったのだ。
文太はそう解釈した。
「…………それにしても、まさか、私の下着をこっそり見ようとするなんてね~、うふふっ」
「あっ、す、スミマセン……」
「もういいのよ。許してあげる」
紫織はニコッと温かく微笑んでみせた。
文太が紫織に惹かれる最大の理由は、きっと彼女の母性なのだろう。
全てを優しく包み込んでくれるような紫織の雰囲気が、仕草が、言動が、
文太の無意識の中にある亡き母親を求める心を刺激するのだ。
「元気出して文太君。まだまだ夜はこれからなんだから……」
美しき人妻の艶かしい一言に、少年の股間は再び生気を取り戻し始めるのだった…………。
「ふふふ、そんなに見つめないで文太君。恥ずかしいわ……」
そう言ってはいるものの、紫織はどこか誇らしげな様子だった。
寝巻きを脱いだ二人はベッドの上で向かい合っている。
照明を点けたままにしてあるので、互いの裸身がよく見える。
(ああ、綺麗だ、本当に綺麗だ、紫織さん……!)
彼女の爆乳Hカップは全く垂れることなく、自重に逆らうようにして前方に大きく突き出ていた。
真横から見ればその美しさと量感がどれほど圧倒的であるかがよくわかるだろう。
二十八歳の成熟した肉体は童貞少年の視線を釘付けにしていた。
(これは夢なんじゃないだろうか。あの紫織さんと、僕が……)
小学三年生の時に、薄手の夏服に身を包む紫織を見て性に目覚めた。
小学四年生の時に、オナニー行為を覚えて紫織をネタに一人で楽しみ始めた。
そして今、憧れの隣家の子持ち人妻が、一糸纏わぬ姿で童貞を奪ってくれようとしている。
ひょっとしたら、自分は才能の代わりに幸運を持って生まれてきたのではないだろうか。そんなふうに思えた。
「それじゃあ、始めようかしら……」
紫織は文太を仰向けにさせると、その上に自分が跨った。
歳の差は十五。紫織が中学三年生だった頃に、文太は産声を上げたことになる。
生きてきた時間というものは、時に人と人との溝を深めてしまう。
“年上だから”、”年下だから”、という観念が障害になることがある。
そうして人は人を遠ざけてしまう。
そして、人生の時間差はどうにもならない。
人は一年間に一つしか歳をとれないのだ。
絶対的である年齢差は解消できない。
だが、人は繋がることができる。互いを求める気持ちがある限り。
「嬉しいわぁっ……文太君の初めてを、私がもらっていいのよね……!」
人間椅子の中心――――――――突起部分に紫織が腰掛けた瞬間、文太はニュプッという音が聞こえたような気がした。
「うあぁっ――――――――!」
高熱の肉に包まれるという未知の感触。
まるでじっくり煮込んでトロトロになった熱々の豚肉が
紫織の内部に存在しているのではないかと文太には思えた。
「ああんっ、久しぶりだから感じちゃうっ……!!」
歓喜の媚声。
何ヶ月ぶりの生勃起を咥え込むことができて、紫織は実に嬉しそうな表情を見せていた。
それはまさしく雌の悦びを充分に知っている成熟した獣のそれだった。
「どう、初めての女の人は?」
少年を見下ろしている上位の存在が問う。
口元に浮かべた笑みは余裕の表れでもあった。
「あ、あったかいですぅ……!」
それに、凄く気持ち良い。
自分が全く動かなくても、おそらく数分で果ててしまうだろう。
女の中というのは、これほどまでに非常な快楽を与えてくれるものなのか。
文太は至高の愉悦を教えてくれた紫織に感謝と畏敬の念を抱いた。ああ、彼女は女神そのものだ……!
「じゃあ、始めるわよ……ふふふ……」
「あっ、うおわっ…………!」
やおら腰を動かし始める。それはわずかな振れ幅だった。
しかしそれでも、文太にとっては大きな性感衝撃だった。
肉襞が傘の部分を擦り上げ、早く果ててしまえと苛んでくる。
紫織も傘で肉襞を引っ掻かれ、強い快楽を感じていた。
「あっ、はぁっ、あああっ……!」
少年を尻に敷き、腰を揺らして喘ぐ。
二十八歳の女の孔の道を、中学一年生の膨張した一部がヌプリヌプリと淫猥な音を立てながらゆっくりと出入りしていた。
「あはぁっ、カタいのってイイわぁ。若いって凄いのねぇっ。わ、私、負けちゃいそうよ、ああんっ」
今の紫織は、快感に身をくねらせながら少年のイチモツを賛美する卑猥な生き物。
それは醜悪な怪物ではなく、むしろこの上なく美しき幻獣のようだと文太には思えた。
「ねえ、見えるかしら……?私と文太君、今一つになってるのよ。……ほら、繋がってるの、見える……?」
「あ、は、はいっ、見えますっ……くうぅっ……はあっ……」
それは甘美な光景だった。
劣情を溜め込んだ自分の一部が、ピンク色の二枚貝のような淫裂を突き刺しているのだ。
そしてその秘貝の奥にある雌孔から出たり入ったりを繰り返している。
グッチャグッチャと淫靡な摩擦音を響かせながら。
(すごい……こんな…………ああぁ…………!)
無上の感動が脳天を突き抜ける。
そして彼は、気付いた時には既に腰を動かし始めていた。
女の身体を教えてくれた紫織に報いるように、腰を打ち上げていく。
「あっ、ぶっ、文太君っ……!?」
突然の反撃に驚く紫織。そう、男が一方的に貪られるだけが騎乗位ではない。
(あっ、すごいっ、文太君ったら、童貞なのにっ、激しいっ……!)
文太の繰り出す初めてのピストンは、勢いは良かったがリズムが一定していなかった。
だがどうやら、それが功を奏したようだ。
「あはぁんっ、そっ、それイイっ!イイわぁっ!もっと突いてっ!」
意外性のある動きは、紫織を大いに惑わせ、そして悦ばせた。
その不安定な突き上げが四十回目に至る頃には
既に彼女の内部は本気汁でグチョグチョになっていた。
「ああっ、もうたまらないわぁっ!」
熟女の口から次々と漏れるアルトの媚声。
彼女の美爆乳が揺れる、揺れる。
清楚で慎ましやかなはずの隣家の子持ち人妻が、自分の上で跳ね、輝くような裸身を震わせている。
(ぼ、僕は本当に紫織さんとセックスしているんだ……!)
雌肉に絶えず締め付けられている男根の気持ち良さが、性交の実感をさらに強めている。
自分も腰を動かすと快感が更に増幅されるのがよくわかった。
あまりの気持ち良さに、文太は自身の終わりを間近に感じていた。
「うぅあっ、いっ、イキますっ!もう無理ですぅっ!」
拙い運動は終焉へ向けて加速を始めた。
今まで以上の力強さで上へ上へと腰をぶつける文太。
「あっ、だっ、出してぇっ、中に出してぇっ!!」
「うぅぁっ……あぁっ……!!」
文太は一瞬だけ頭の中が真っ白になっていく感覚に襲われた。
それは紫織も同様だった。
「ああんっ、イクぅっ、あああぁぁぁっー!!」
甘い叫び声が搾り出されたその瞬間、人妻の膣内で、少年の欲望が弾け飛んだ。
高圧で噴出された白濁の連射が、雌蜜でトロトロになった内部をこれでもかと叩きまくる。
元気な肉棒から次々と射出される白い雨。
まさに豪雨と言って差し支えないものだった。
この激しさは、結婚当初既に三十代半ばだった夫とのセックスでは味わったことが無かった。
紫織が受け止めたものは、少年の若さそのものなのかもしれない。
(はあぁ……これが、セックスなんだ……!)
官能が脳天を突き抜け、全身が吹き飛びそうな悦楽を感じて呆けていた文太だったが、突然口を塞がれて我に返った。
「んんっ…………!?」
自分の唇に触れているのは、紫織の唇だ。
そして真っ赤な口紅を引かれたその形の良い唇から、熱い舌が口内へ侵入してくる。
有無を言わさず押し入られたので、文太はなんだか犯されているような気分になった。
だが、もちろん嫌ではなかった。
好きな女性が積極的に迫ってきてくれるのはやはり嬉しい。
(普通のカップルがやってるようなことを、僕は今やってるんだ……紫織さんと……)
テレビドラマなどでよく見かける恋人同士のキスシーン。
それが現実になっているという非日常感。
まるでこのベッドの上が劇場の舞台のようだ。
ちゅぱっ……くちゅっ……ちゅぱっ…………ちゅぱっ……くちゅっ……。
上でも下でもつながっている状態。深い深い接吻は、少年により強い一体感を抱かせた。
「ん……キスは初めてよね……?」
「は、はい」
「ごめんなさい。順番が逆になっちゃったわねぇ……ふふふっ」
やはり普通は初キスの後に初エッチをするものなのだろうか、と文太は思った。
「んっ…………」
紫織がゆっくりと腰を上げると、女の穴から少年の突起が姿を現す。
男と女の生殖液でドロドロになったそれは、果汁を搾り採られた後の果実のように情けない姿を見せていた。
外気にさらされたそれは、急速に熱を失っていっている。
文太としては、もう少しだけ彼女の温かく気持ちの良い体内に入っていたかったというのが正直な気持ちであった。
達成感と一抹の寂寥感。
とにかくこれで一つ終わった、という気分になっていた文太だったが、しかしながら、紫織から口から意外な一言を聞くことになるのだった。
「……ねえ、もう一回できるわよね?」
「ひぃっ!?」
「若いから大丈夫よ、たぶんね」
いや、そんな……四回目なんて……。
文太は一日に六回射精した経験を持っているのだが、
こんなにも短い間隔で発射したことは一度もなかった。
勃つはずがない、と思っていたが、しかし紫織の右手に扱き立てられると、
役目を終えてしょげていた陰茎はすぐにその性機能を復旧させた。
あまりにあっけない再充填に、文太自身が驚きを隠せない。
「今度は、君が挿れてみて」
言われるままに腰を押し付けるが、しかし、なかなか上手くいかない。
仕方が無いので、紫織はペニスを持って自身の入り口に先端を当ててやった。
「どう?できるかしら…………あっ……んっ……」
すると今度はあっけなく入り込んだ。
ぬかるんだ洞穴は、その高い粘性でオスの侵入を促す。
「あんっ、あっ、あっ」
文太の抽送が始まると、すぐに吐息が乱れていった。
それと同時に、むっちりとしたフトモモが少年の腰に絡み付いてくる。
騎乗位の時よりも高い密着度は、文太に強い一体感を抱かせた。
女体の熱が、触れ合う肌から伝わってくる。
汗ばんだ二匹のケダモノは、互いの分泌液を交換するかのように身体をくっつけて動いていた。
「いいわあっ、文太君、最高よぉっ!あっ、あはあっ、あっ、もっ、もっと激しくっ!もっと激しくしてぇっ!」
ほんの数か月前まで小学校に通っていた少年が、成熟した色香を放つ大人の女性に覆いかぶさって腰を振っている。
それは実にインモラルな光景だった。
「んっ、あっ、ふあっ、んんっ」
下半身だけでなく、唇や舌も互いを求めて積極的に動く。
今、彼らは一体になっていた。
もうすでに二人の間にはなんの障壁も無いかように文太には思えた。
「ああんっ、文太君の、硬いのっ、すごいっ!」
正常位での単調な往復運動。
上手とは決して言えないであろうそのピストン運動は、しかしながら紫織の性感を大いに刺激した。
肉槍の突撃を受けるたびに、身体の芯が燃え上がる。
膣孔をぐちゅぐちゅ掻き回されると、失神してしまいそうなほど強烈な悦楽が全身に広がっていくのだ。
若いオスの元気なペニスは、ただ挿れられているだけでも気持ち良い代物だった。
そんな極上の肉棒で力強く擦られまくっているのだから、なおさら気持ち良くなってしまうのである。
「うあっ、ぼっ、僕もっ、紫織さんのでっ、すっごく、すっごく気持ちイイですっ!」
突けば突くほど、女の喘ぎは激しさを増す。
絶頂へと向かっていくほど、紫織との一体感が高まっていくように思えた。
「はあっ、もっと、もっとしてぇっ、私をイカせてぇっ!」
熟女の淫らなおねだりに応じるように、男子中学生は全力で下半身を動かし始めた。
先程の騎乗位の時よりは余裕があるが、しかしこれだけ激しい摩擦を受けていては我慢がきかなくなってくるというものだ。
(うっ、だっ、だめだっ)
終わりを悟ったその時だった。甲高い官能の叫びが耳に飛び込んでくる。
紫織のほうが一瞬先に音を上げてしまったのである。
「あーっ、イクっ、イクのぉ――――っ!!」
「あ、あ、ううぅっ」
腰の辺りをブルブルと震わせ、情けない声を上げながら、少年は果てた。
四回目にしては多めのスペルマが、熱く火照った肉洞へと吹き付けられる。
「はあ、はあ、はあ、はあ…………」
連続発射で疲れきった文太は、倒れるようにぐったりと身体を預けた。
彼を抱き止める紫織は、「満足だ」とでも言いたげに笑みを浮かべて深く嘆息する。
つながったままの二つの生殖器。その結合部からは情欲の白き残滓が溢れてトロトロと流れ落ちようとしている。
そして、少年と熟女はそのまま眠りについた。
「あっ、あっ、いっ、ああんっ」
あれから数十日後。
二人は昼間から台所でつながっていた。
紫織は毎日料理をするための場所――――すぐ横にはシンクがある――――に手をつき、
立ったまま尻を突き出して後ろからの衝撃を受け入れている。
文太は紫織の腰に手を当て、白く美しい尻に自分の肉根を叩きつけていた。
十五歳差の男女はまるで本当の夫婦のようにタイミングを合わせて腰を振っている。
毎日のようにセックスを繰り返していたので、
二人はまるで呼吸をするように自然にまぐわうことができるようになっていた。
「あはあっ、ひいっ、あああんっ」
「おわっ、イイっ、凄く締まってますっ!やっぱりこの格好でヤルと、紫織さん、興奮するんですよねっ?」
そう言って、舐めつけるような視線を紫織の”衣服”へと向ける。
彼女の背中は大きく露出しており、尻に至っては丸見えであった。
これは、紫織が裸体にエプロンしか身に着けていないためである。
これは完全に文太の趣味であり、成人向けの漫画の影響が色濃く反映されていた。
そしてその、全裸にエプロンのみを着用するという奇妙な装いが、紫織に新鮮な興奮を呼び起こしている。
一方、文太は全裸だった。
「ああっ、そっ、そんなことないわっ!あんっ、私、そんな変態じゃ、ああ、な、ないのにぃ!はあああっ……!」
「そ、そんなこと言って、紫織さん、こ、こんなに濡らしちゃってるじゃないですかぁ」
文太が焦らすようにゆっくりと抽送し始めれば、紫織は物足りないとばかりに自分で腰を動かそうとする。
一度つながってしまえば、紫織はもう文太のいいなりのような状態になってしまう。
少年にとって、年上の女性を弄ぶという愉悦はこの上ないものであるように感じられた。
「あぅんっ、ちっ、違うのぉっ、私、こんな……あっ……はあっ、ああっ、イイっ!」
自身の変態性を否定するために気丈な態度を表わそうとしても、肉の快楽には抗えない。
勢い良くドスドス突き込まれればいっそう強く喘いでしまう。
若茎ピストンの甘美な衝撃により、悦楽ではしたなく歪んだ顔が仰け反り、天井を向いた。
それは雌としての幸せを享受できた女の心底嬉しそうな表情であった。
後ろにいる文太にはよく見えなかったが、紫織の淫らな啼き声を聞いていればだいたい想像できた。
文太は、前に伸ばした指先で布地越しに乳首をコリコリと弄り始める。
刺激を受けてしこりきった乳頭はエプロンを押し上げてその存在をアピールしていた。
「ああっ、すごいっ、おっぱい、イイのぉっ!」
そして、充血したクリトリスを片方の手の指の腹でくじる。
その執拗な撫で回しは、まるで軟膏を塗り込もうとしているかのようであった。
乳豆とクリ豆の両方から痺悦を喰らわされ、彼女の性感神経はこれでもかと刺激される。
両手で愛撫をしていても、少年の陰茎は愛液の溜まった膣内を激しく撹拌することを忘れない。
ただ闇雲にピストンをしているわけではなく、その動きはきちんと紫織の気持ち良いツボを突いていた。
それだけでなく、少年は腰を複雑に円運動させることすらできるようになっていた。
文太は確実に成長しているのだ。
自分に何も無いと思っていた文太だったが、どうやら性交の才能はあったようで、
あの夜の初体験の時の拙さが嘘だったかのように、現在は紫織を簡単にイカせることができるほど上達していた。
紫織のほうはというと、文太の予想外の成長ぶりに喜びつつも、年下の少年に主導権を握られる悔しさを感じていた。
やはり彼女にも、年上の女性としてのプライドというものがあるのだろう。
女を極みへと導いた男は、付け上がって傲慢になることが多い。紫織はそれを危惧していた。
彼女はまだ上位の存在でありたいと思っているのだ。
文太としては、完全な主従逆転を狙ってはいないようだ。
ただ単に、自分の責めで感じてくれている紫織の様子が可愛く思えて仕方ないといったふうである。
(ああ、大好きだ、紫織さんっ)
家捜しに端を発した肉体関係により、文太の生活は一変した。
あれからずっと、隣家の子持ち人妻の身体で思春期の盛んな欲望を満たす爛れた日々を送っている。
右手が夜の恋人であった少年は、他人と一緒に快楽を共にすることの素晴らしさを知った。
なるほど、肉体関係を持つということは、こういうことなのか。
彼は夫婦になるということの利益を存分に堪能していた。
一方、紫織はというと、性欲を持て余す男子中学生を相手にするということがどういうことなのかをこれでもかと思い知らされていた。
中学生という年頃の少年は、健康体であるならばやはり性衝動が強いのが普通である。
それは文太も例外ではなかった。
いや、人一倍性欲の強い少年であるとも言えた。
短時間で四回、多い時では六回も射精できるという男性はなかなかいないだろう。
二人とも、何度身体を重ねても飽きを感じるということが全く無かった。
「文太君っ、あっ、あっ、わ、私、もう…………!」
まだまだ幼い顔立ちの少年に、十五も歳の離れた大人の女性は追い詰められてしまっていた。
「あっ、あっ、イクっ、イクイクイクぅぅぅぅ――――っ!!」
立ったまま後ろから突かれ、身体を前後に揺らされている紫織。
雌の悲鳴を上げると同時に身体を仰け反らせ、達してしまったことを少年に教えてしまう。
それに一瞬遅れて、文太の肉砲も火を噴いた。
体内に埋まったイチモツが激しく痙攣し、先端から白い劣情の塊が飛び出す。
熱く火照った膣壁に雄粘液を勢い良く叩き付けられ、紫織は更なる極みへと達してしまう。
「ああっ、またイク、イッちゃうぅぅぁぁああっっ!!」
剥き出しのヒップを震わせ、結合部からぷしゅぅっと女の汁を噴き出す。紫織は連続絶頂を極めた瞬間、潮を吹いてしまったのだ。
「ううっ」
反撃とばかりに括約筋がぎゅぎゅっと締め付けてくるので、文太はたまらず低く呻いた。
それはまるで、最後の一滴まで精液を搾り採ろうとしている雌そのものだ。
文太が腰を引いて分身を女孔から引き抜くと、逆流した精液が結合部から床へと垂れ落ちていく。
白く糸を引いている粘液は綺麗に掃除されたフローリングを汚していった。
「ああんっ…………」
若肉を抜き取られた時に人妻は不満そうな声色で甘く喘いだ。
そのままずっと挿れたままにしておいてほしいと言っているかのような調子だった。
「ねえ、キスして…………んっ……」
二人は抱き合って深く唇を重ねた。紫織のほうから情熱的に積極的に舌を絡めている。
(文太君……好きよ……!)
男として増長していく小憎らしさを感じつつも、やはり文太のことが可愛くて仕方ないのだ。
そうして長い間互いの唾液を貪りあった後、二人は次の行為を始めた。
「うっ……はあっ………………あぅっ…………」
文太はひんやり冷たいフローリングの床の上に尻をつけて座り、両手は身体を支えるようにして後ろに配置させていた。
「うふふ…………どうかしら……?こういうのは……?」
「はあっ、きっ、きもちっ、イイですっ……!」
「女の人の足で気持ち良くなっちゃうなんて、文太君、変態なんじゃないの?ふふふっ」
紫織は椅子に浅く座り、両足を使って文太のイチモツを弄んでいた。いわゆる足コキである。
「ああっ、はあっ、そっ、そんなぁ……」
文太が紫織に足コキをされるのはこれが初めてだ。
しかも突然だった。文太に具体的なことは何も知らせず全裸のまま床に座らせ、いきなり足で嬲ってきたのである。
(ああぁ、なんで、なんでこんなにイイんだぁ、ああっ)
最初こそ困惑していたものの、あっという間にその快楽に屈してしまった。
足の裏の厚い皮膚でサオを強めにシコシコされるのも、足の指で亀頭をクリクリされるのも、信じられないほどキモチイイ。
比較すると、やはり挿入行為のほうが上なのだが、足で弄ばれるのも非常な快感を得られる。
それゆえ、文太は無抵抗でイジられ続けているのである。
「あらあら、どうしたの?そんなにだらしない顔しちゃって。カッコワルイわよ、文太君……くすくすっ」
意地の悪い魔女がするような嘲笑。
圧倒的優位に立つ者が浮かべることのできる表情。
そう、文太とのセックスで快感負けしてしまうようになった紫織にできる唯一の反撃。
愛撫ならば、一方的に攻め続けることができるのだ。
「あぅうっ……!」
あの初体験から数十日が経っている。
握られただけで達してしまいそうだったあの時と比べ、我慢強さは飛躍的な進歩を遂げていた。
しかしそれでも、この足を器用に使った責めは実に耐え難い。
紫織との行為によってマゾ的快感に目覚めてしまった
――――いや、目覚めさせられた、と言うべきか――――
文太は、こういう被虐的なシチュエーションに酷く興奮し、強い快感を覚えてしまうのだ。
紫織を責めまくるのも好きだが、責められまくるのも好きだ。
守るべき愛しい女性に踏まれて気持ち良くなってしまうという情けなさもまた、官能を燃やす薪となっていく。
イジメられると、イイ。足で踏みつけられるように圧迫されると、もう堪らない。
(こんなことも、旦那さんにしてあげているんだろうか…………)
脳裏をよぎる、自分以外の男性の影。
ひょっとしたら、これは夫以外の男性との経験で培った技術なのかもしれない。
だとすれば、いったいどのような状況でどんな男に教え込まれたのだろうか。
男遊びなどしそうにない清楚な外見の紫織だったが、淫乱な本性を知ってしまった今となっては、そのような卑猥な想像も現実味を帯びてしまうのだった。
「ほらほら、もっと頑張りなさい、うふふふふっ……!」
苦戦する少年を面白そうに見下ろしている紫織。
彼女は先程まで着用していたエプロンを外しており、今は全裸の状態で台所の椅子に腰掛けている。
剥き出しの割れ目からは先程までの情交の余韻が糸を引いて垂れていたが、彼女は隠すことなく晒していた。
むしろ戦利品とでも言わんばかりに見せつけているようでもあった。
「だっ、ダメだあぁっ、もうダメっ、ダメですっ!」
始まりから終わりまでずっと劣勢のまま、決着がつく。
中学生の焦りに満ちた悲鳴は敗北の印だ。
「ああうぅっ、出るっ、出ちゃいますぅ――――――――っ!!」
恥ずかしい宣言と共に、ブルッと全身を震わせ、醜い欲望の塊を体外へ一気に放出する少年。
噴水のようにしぶいた粘性の高い子種汁が、落下先である紫織の白く美しい素足にびちゃびちゃと付着していく。
あっという間に汚濁された両足を、紫織は泥遊びでもするかのように擦り合わせて粘液を弄んだ。
「まったく……こんなに出しちゃって、イヤラシイ子ねえ…………これじゃあお掃除が大変よ…………ふふふっ」
ニヤリ、と勝ち誇った笑みを浮かべて見下ろす紫織。
女王陛下も裸足で逃げ出しそうな高貴さと傲慢さを兼ね備えているように文太には思えた。
(ああ、やっぱり紫織さんにはかなわないや……)
それから二人は、何事も無かったように仲良く一緒に夕食の準備をするのだった。今晩は文太の大好きなハヤシライスだ。
これからも二人の蜜月は続いていくだろう。それが二人だけの秘密である限り。
【どうなの?私と、したくない?】
【…………ぼっ、僕は、したいですっ!ぼぼぼ僕はっ、紫織さんとしたいですッ!】
あの時、そう言えて良かった。文太は心の底からそう思っている。